(読書メモ) 河野真太郎『戦う姫、働く少女』

 女性主人公の描き方に焦点を当てて、そのような描き方を求める社会の現状と、時にはその変革の欲求までもを捉えて記述しようとしている点が面白い。複数の作品を、思いもよらなかった形でつなげているのは著者も述べるように、大きな知的興奮なのだけれど、その一方で個々の作品の分析ももっと読みたい、というのは無い物ねだりか。著者の立てている図式が強力なので作品の組み合わせは説得力があるのだけれど、その図式を打ち破る新たな力の萌芽のことも、もっとたくさん聞いてみたいと思わせてくれる記述だった。ということで、著者による夏休み講座、『著者が伝授、君にも書ける、『たた姫』式批評』の開催を希望いたします。