遅れてきた韓流ブームなど

新潟に住む、信州時代の同僚が東京に遊びに来るというので、やはり在外研究で信州から東京の大学に来ているI先生とともに3人で会う。
大学院の同級生だったお二人がよく行ってたという大久保の韓国料理屋「松屋」へ。

実はちゃんと韓国料理店で食事するのは初めて。
とにかく辛いというイメージがあったので、辛いもの食べるとすぐ腹にくるから僕などは避けてたのだけれど、食べてみると意外に好みの味であったことが判明。店の雰囲気も庶民的で、かつ店員さんの対応も早いので、とてもよい気分で料理を楽しめた。


マッコリはヤカンで。



チジミも大皿で。



今回のお気に入り。豚の背骨を使った鍋、カムジャタン
見た目は真っ赤だけど、辛さは適度。
豚骨エキスがたっぷり出てドロドロになったスープをすするのがクセになる。
シメにご飯を入れて焦げ目をつけながら作る、香ばしいチャーハンのようなおじやがまたうまい。

遅れてきた韓流ブーム。


以下は備忘録
Iさんの話で、文学など芸術には「共感の芸術」と「驚嘆の芸術」があるんだなと改めて思った、という話を興味深く聞く。後者は人を驚かせて居心地悪くさせることに作品の価値があるという意味で(だと思う)。
その例としてある映画の最後で、悲惨な目にあってきた主人公がその状況の中で発する“希望”という言葉をあげる。明らかに一般的な意味での希望とはかけ離れた状況なのだけれど、たしかにそこでそう言うしかないと見るものに思わせる、奇妙な必然性に至らせる構成力が物語の持つ力なんだな、ということを言ってたように思う。


年末をアメリカ、ニュー・メキシコにある先住民居住区で過ごしてきたという元同僚のお土産話を楽しく聞く。
それから、黒人による非暴力的抵抗について研究を進める彼からベンヤミンデリダなど「暴力」「抵抗」などに関する本をいくつか紹介される。
暴力批判論 他十篇 (岩波文庫―ベンヤミンの仕事)法の力 (叢書・ウニベルシタス)デリダとの対話―脱構築入門 (叢書・ウニベルシタス)暴力の哲学 (シリーズ・道徳の系譜)怒りの方法 (岩波新書)
恥ずかしながら読んだことないものや、以前に読みはしたけど理解できなかったものなど。
こちらは遅れて、というより手遅れなのだけれど、また小さな砂の城を作ってみようかという何度目かの無謀な試み。


Iさんの話を受けて、「こういった本を読んでたら、これを“暴力”や“抵抗”と呼ぶか、というところにいつの間にか連れてこられてる驚きがあるよ」と説明されて、なるほどと思う。そんな彼から、メルヴィルの「バートルビー」を勧められて、奇妙な偶然を感じる。昨年の夏に小さな学会で発表をしたときに、司会をしてくださった先生からも勧められていてそのままになっていたので、こちらも読んでみようかと思う。

とはいえ結局読み始めたのは入門書だったりするわけで。足がかりとしてはとても良い導入になってくれる思うが、ここで満足して山に登らずに引き返すといういつものパターンに陥らないようにしたいものだ・・・。
デリダ―なぜ「脱‐構築」は正義なのか (シリーズ・哲学のエッセンス)