シアトル日記3

8月21日に帰国してあっという間に10日あまりが経過。


ホームステイは8日間という短い期間ではあるけれど、学生たちはそれぞれ貴重な経験ができたようで何より。
ホストファミリーも多彩だったようで、「イスラム系でラマダン中だったので、夜9時近くまで晩ご飯が出なかった」「インド系なので毎晩カレーだった」、というものから「お母さんが日本人でした」というものまで。こちらとしては「せっかく英語の研修に来たのに…」と心配して聞いてみると、学生は「いざというときに日本語が使えたのでよかったです」というポジティブな感想だったので安心する。
 今回は現地コーディネーターの方が大変にご尽力くださり、ホストファミリー先でのちょっとしたトラブルや悩み、不安などにもすぐに対応してくれたので、学生たちにも実り多い訪米になったのではないかと思う。
夜にホストファミリー宅まで赴いて学生が伝えきれないことを説明してくれたりなど、ちょっと過保護では?と思われる部分もあったけど、期間が短いことや言葉や文化が違う異国の地での学生の不安など考えると、それくらいしてあげてもいいのかな、とも思った。引率する自分としても、何かあった場合の心配や緊張はあったものの、他の引率者やスタッフ、学生にも恵まれて何とか任務はこなせたかな、と思う。今までよりも多少はオープンで面倒見のよい人間になれたかもしれません(今のところは)。

シアトル日記2

昨日より学生たちは寮を離れて2人1組でホームステイ先へ。

それぞれのファミリーが迎えに来て見送ってゆくのは、ちょっと寂しいものではある。学生たちのいなくなった寮に泊まり続けることを思うと、こちらもホームステイしてもいいな、ともちょっとだけ思う。

迎えに来たファミリーの中に、モデルのように美人なホスト・マザーがいたりしたのでなおさら。

これまでにあったことをいくつか。

週末は授業は休みなので、土曜はフェリーに乗って、カナダのヴィクトリアへ。カナダ有数の植物園のブッチャートガーデン(Butchart Garden)へ。あいにくの雨だったけれども、綺麗な花がたくさん咲き誇るちょうどよい季節で、色とりどりの花に心動かされて柄にもなくたくさん写真を撮る。

それから次の日はセーフコフィールド球場へ行き、マリナーズカンザス・シティ・ロイヤルズの試合を観戦。
結果は3対2でマリナーズが勝利。イチローも2安打で気持ちよく観戦できた。
もう1人の引率者の提案で、イチローを応援する横断幕を作って行ったら、一瞬だけれどもオーロラ・ビジョンに映し出されて、学生たちにもとてもよい思い出になったと思う。

  

セーフコフィールド球場

おきまりのポーズも

シアトル日記1

シアトルに来て3日目が終わったところで簡単な経過報告。

初日は空港についてシアトルの街中をバスで周り、滞在する大学へ。
引率と言っても、学生25名に教職員が4名着いているから、かなり手厚いのではないかと思う。点呼やスケジュール確認などは事務方の職員さんがテキパキと行ってくれて、実際のところ僕の仕事などはここまではほとんどなかったし。

最初は大学寮に滞在ということで合宿のような生活を想像していたけれど、施設は思っていたよりも綺麗で使いやすそうなので安心した。食堂も自由に取れるビュッフェ形式で、肉類やパスタだけでなく野菜も豊富に取れるようになっていて、こちらも想像以上によかったけど、学生は5日ほどしてホームステイに入るのに対して、引率教職員は十数日間ここで生活かと思うとちょっと気が滅入る。学生たちと一緒にホームステイするのも今後の選択肢の一つかなとも思う。

2日目は午前中は早速英語の授業。英語の授業に最初は戸惑いながらも、いつもと違う雰囲気を学生たちは楽しんでいる様子。先生たちと一人一人が会話して、クラス分け。

3日目には分けたクラスで授業。両方を見学させてもらったけれど、確かにレベルにあわせて課題をコントロールしてくれてるので、英語が(かなり)苦手な学生たちも適度に緊張感を感じながら英語での授業を楽しんでいる様子で安心したし、教え方に僕も学ぶところもあった。いろいろ条件はあるものの、英語での授業もやりようによってはうちの学生のレベルでも可能なんだなと実感した。

学生たちが「日本での授業より断然楽しい」と言ってたのを複雑な思いで聞いたが、そりゃ日本と同じだったらここまで来た甲斐ないよな。
その後はシアトル市内の観光。人でごった返すスタバ一号店は前を通り過ぎただけだったけど・・・。というわけで、最初の簡単なレポートでした。続けられれば続けます。

入り組んだ湾に面したシアトルの遠景


スターバックス本社(てっぺんに例のマーメイドの頭が乗っかっているのが分かりますかね)


シアトル・マリナーズのセーフコフィールド球場

実は日曜日には観戦予定なのです。いや、一応業務の一環ですから。
とはいえ、自分のように野球をほとんどみない人間でも、実はイチローを生で見れる(かもしれない)のは結構楽しみなのです。


シアトルということで、スタバの一号店。

言われるまで気づかなかったのですが、マーメイドの模様が現在のとは違うんですね。色々理由があるそうな。

行ってきます

ご無沙汰でした。
 授業と教務関係などで慌ただしく過ごし、8月2日にようやく最後の授業も終了。
そして、その間にホームステイの引率も正式に決定し、あっという間に出発の日。
今日の午後4時にはシアトル18日間に向けて日本を発つ。
無線LANもつなげるそうなので、機会があれば向こうの写真でもアップします。

でも、「成績は出していってね」ということなので必死で採点を終わらせる。そのあたり人使いが荒いというか、融通が利かないというか…。「たしかウェブで成績入力できますよね」と聞いたら「あれは学内から限定なんです」。ウェブの意味がねぇ…。セキュリティ上の配慮だそうだが、工業大学だから何とかならないもんだろうか。

前のエントリーの間にあったこと2つほど。
 知人の先生から「よかったら1度、ご研究について学生たちにお話ししにいらっしゃいませんか?」とお誘いいただいたので、電車を乗り継いで2時間ほどかけて栃木県の某大学へお邪魔する。お話できるほどのものなんて何もないのだけれど、やっぱりいざ話すとなるとそれなりに流れを考えて、パワーポイントとレジュメを作り、動画を準備するのは楽しかった。学生からは「興味が出ました」「そこそこ面白かった」などのコメントをいただく。遠かったけど、行ってよかった。また機会があればやってみたいし、頼まれたときに引き受けられるように勉強は続けておかなければなとも思った。

 父の日に息子の父親参観へ。年中さんになってからは初めてお邪魔した僕に、最近お気に入りの鉄棒やカメの水槽を紹介してくれる乙はすっかり幼稚園に馴染んでいる様子。お友達の女の子から、「いっしょにあそぼう」と誘われて歩いてゆく様子にも安心する。参観日の活動では、「パパ大好き」という歌を合唱してもらってるときに、何とも言えない気分になって目頭を熱くする。それほど面倒見のよい父親とは言えない自分のことを、何でかは分からないが、こいつはホントに好きなんだな、と実感する。簡単には(多分ずっと)解けない謎だ。こいつが「パパ大好き」なんて言ってくれなくなって、そんなことを言ってたことすら忘れてしまっても、俺の中には宿題のように残るんだろうな。
その後おきまりのラーメン屋へ。「ラーメンはね、パパと食べるって決めてるんだ」という乙に、僕の分の煮玉子も差し出す。もうしばらくは一緒に行ってくれるか?という気持ちも込めて。

動物園とアメリカ引率

5月のこと。
ゴールデンウィーク頃は、まだまだ帰りが遅くなることも多く(といっても9時くらいだけど)、妻が子供2人をずっと見ているということも多かったので、たまにはお兄ちゃんだけでもと、朝から千葉動物園に2人でお出かけ。

  

水中で眠るアシカや、大好きなキリンや象を見て満足げだったので、よかった。
最近は土曜も出かけてることが多くて、日曜くらいしか一緒にいられてないが、忘れないでくれよ。


勤務先では、毎年夏休みにアメリカ、シアトルへのホームステイを行っているのだが、ここ数年は不景気の影響か希望者が少ない、または新型インフルなどで実施されていなかった。どうやら今年は実施されそうで、何人かの先生から「もしかしたら今年はMさんが引率かもよ」と耳打ちされ、慌てて英語教室の引率経験のある先生に話を聞いたり、T先生のカナダ引率のブログ・エントリーを読み直す。海外でインターネットってどうやってつなげるんだろう?告白すると、実はわたし、アメリカには行ったことがないのです。
そして、もしやと思って確認すると、やはりパスポートが切れていたので、こちらも慌てて申請書類を市役所に取りに行き、実家に連絡して戸籍抄本を送ってもらう。
もし引率が実現すると、すでに申請しているイギリスでの学会も含めて、夏休みの半分くらいは日本にいないことになってしまうのだが…。今年の夏も家庭の危機かもしれん、と今から一抹の不安。


お世話になっている学会が40周年とのことで、記念論集を出すことになり、よい機会なので投稿してみることにする。とはいえ、ネタは今から仕込むのだけれど。9月末だが、間に合うのか?先日投稿したものが多分ダメだからそちらを手直しして…、とも目論んでいるが、どうなることやら。

娘の誕生日と、海外出張

Y-mim2010-04-30

月末くらいのことまで。
触れていなかったけれど、4月の上旬には娘の1歳の誕生日だった。周囲の方からは、「二人目の成長は早いよー」とよく言われていたけれど、本当に「もう1歳?」という感じ。お兄ちゃんの時は最初の1年は、かなり長く感じたもので、乳飲んで寝てるだけのこいつが、立って歩いたりしゃべったりするようになるなんて実感がわかず、遙か遠い未来に思われたのだが…。娘は、(本当に申し訳ないのだが)「いつの間にか動けるようになってて、気がついたらハイハイしてた」というのが正直なところ。
けれど、この段階でもすでに兄妹の気質の違いが現われてきたように思う。お兄ちゃんはとにかく感情の線が細かったので、知らない人に抱かれたりオムツがちょっと濡れただけで泣いてたものだが、妹の方は肝がすわったもので、何でも触って口に入れて、ウ○チしたままでもご機嫌で遊んでたりと、かなりワイルド。せっかく作った積み木の塔を妹に破壊されて、お兄ちゃんの方がいじけて泣いているというのもよくある光景。絵本の好みもずいぶん違うし(兄は乗り物、妹はとにかく動物)。
女の子はこのまま(あまり余計な知恵をつけずに)愛嬌ある子に育ってくれればいいなと思う。


それから仕事関連の話。
とある所属学会の2つの部署から運営のお手伝いをしてくれないか、との依頼。2つ来たらどちらかは引き受けざるをなさそうだ。けれど、一つは緻密さと正確さと批評性を求められる仕事(つまりは論文雑誌の編集ということだけど)なので、関われると自分の得るものも多いだろうが、ずぼらを自認する自分が杜撰な仕事でご迷惑をかけてはいけないと思い、こちらをお断りすることにする。

実はマードックの読書会は月1ペースで細々と続けているのだけれど、そこに参加している先生が9月にイギリスで開かれる国際学会で発表することになり、「一緒に行ってみませんか」と誘われる。これが3月のことで、勤務先ではちょうど次年度の海外出張の申請期間中(年度の変わり目にまとめて申請するシステム)だったので、ダメ元で応募してみる。
理工系大学ということもあり、海外の学会で発表する先生も多く(論文も「英語が基本」という世界なのだそうな)、海外出張については比較的恵まれているのではないかと思う。
しかし毎年希望者も多く、基本的に「発表」が優先で「参加」というだけではあまり認められない(当然か)とのことだったのだけれど、今年は数が少なかったのか、運良く認められる。というわけで、久しぶり(数えてみれば10年ぶり・・・)のロンドンに胸躍る。


読書会の方はThe Sea, the Seaをようやく読み終わり(500ページを超える大部ということもあり、2年くらいかかった)、The Severed Headを読み始める。
「切られた首」ということで、“部分と全体”“フェティシズム”“所有することは、対象にとらわれることでもある”といった精神分析的なキーワードを念頭に入れて読み進めてゆくことにする。母体の学会でも来年(2011年)はマードックを取り上げることが決まったという知らせを聞く(ちなみに今年はE・A・ポー)。何度か文献を読む研究会を主催して、夏の大会ではシンポを開くことになるという。読書会メンバーとしてもいろいろお手伝いすることになりそうだ。

中身は全く伴っていないけれど、たまには形だけでも研究者っぽいエントリーということで。

教務担当と野生の王国

4月中旬頃のこと。

新年度が本格的に始まり、教務担当としても実動開始。
まずは新入生対象に行った学力試験をもとに、習熟度別のクラス分けから。とはいえ、理工系大学。英語が苦手な学生が多いので、中級も初級もほとんど点差は変わらない。数点差にひしめき合う集団に何とか線引きをして、事務方に渡す。

昼休みも英語の履修相談で学生が頻繁に訪れる。
「専門科目と英語が重なってしまった」、とか「クラスが難しいので変えたい」とか「先生が合わないからクラスを変えたい」とか、叶えられるもの叶えられないもの、迷える子羊たちからの訴えに個別対応。
昼休みが終わり、ようやく一波過ぎたところで、半分食べたまま机の上に置きっぱなしになってたおにぎりを頬ばって授業に向かう。ガイダンスとはいえ、大学側からの指導もあり、あまり早く終わるわけにもいかないのでプリントを配って結局ほとんど授業。

授業の合間に講師控え室に行って非常勤の先生方にご挨拶。3年目の自分などよりここでのキャリアが豊富な先生方ばかりなので、失礼のないよう慣れない気を遣う。

しばらくは事務と学生と非常勤の先生方への応対に明け暮れる日々だな。


と思っていたら、早速大きなミスを犯す。
対応に走り回り、事務方には大変なご迷惑とご苦労をかける。


疲労困憊したので、週末はどこにも行かず、家で寝てて…というわけにもいかず。うちの子たちは最近、休みの日に限って早起き。
天気はいいけれど、遠くに出かける気力も財力もないので、近くの公園に家族でピクニック。中を流れる浅い人工の小川を見て、お兄ちゃんは「入りたい」と連呼。まだ4月とはいえこの時は暑いくらいだったのでパンツ1枚(本人は『裸でいいよ』というのだが、さすがにもうすぐ5歳だからなぁ)にして放つと、犬のように飛び込む。
そして横を見ると、敷物から四つ足で這い出した妹が芝生をむしってうまそうに食べていた。獣のような兄妹を微笑ましく眺める。まさに野生の王国
そして、妻は四つ葉のクローバーを見つける。しかも2つ。

幸せは身近な足もとにあるものかな、などと月並みなことを実感した日。